マーメイドはホテル王子に恋をする?!
ゆっくり話を聞かせてとせがまれたが、気持ちはとんでもなくブルーで、とても相手をする気力にもなれないから断った。
居間を出て部屋に向かい始めたら、何処に泊まったの?…と母に聞かれ、一瞬ドキン…と胸が弾んだ。
「ホ…ホテルの仮眠室」
夜勤中の仮眠室にはベッドが置いてある。
それを母も知っているから特に不思議がられもせず、「ふぅん」の一言で見送られた。
ホッとしながら二階への階段を上がりだせば、昨日の話になったらしく、道の駅で社長と出会ったおばさんが自慢気に、「イケメンだったのよ〜!」と叫ぶ声が聞こえてきた。
きっと皆はその話を聞いて、社長が私の彼氏だと勘違いをすることだろう。
社長は自分の身分を明かさずに町内を巡ることで、地元民の中に溶け込みたかったのだろうけれど、実際に厄介なのはこの噂が広まった後で、実は仮の恋人でした…なんて弁解をしたところで、それを一体誰が信用してくれるのかが謎なのだ。
シュークリーム屋では社長のことを名前で呼び捨ててしまったし、養鶏所では彩月に彼氏と聞かれ、頷きたくもないが半ば認めるように首を縦に振ってしまった。
何よりあちこちの店やスーパーに出入りする、あのお喋りな若松君が知っている。
彼の口に勝ることなど、きっと私には出来ない。
ただひたすら、あの噂がデマだった…と皆が信用する日まで、辛抱強く時が過ぎるのを待つだけになるのだ。
居間を出て部屋に向かい始めたら、何処に泊まったの?…と母に聞かれ、一瞬ドキン…と胸が弾んだ。
「ホ…ホテルの仮眠室」
夜勤中の仮眠室にはベッドが置いてある。
それを母も知っているから特に不思議がられもせず、「ふぅん」の一言で見送られた。
ホッとしながら二階への階段を上がりだせば、昨日の話になったらしく、道の駅で社長と出会ったおばさんが自慢気に、「イケメンだったのよ〜!」と叫ぶ声が聞こえてきた。
きっと皆はその話を聞いて、社長が私の彼氏だと勘違いをすることだろう。
社長は自分の身分を明かさずに町内を巡ることで、地元民の中に溶け込みたかったのだろうけれど、実際に厄介なのはこの噂が広まった後で、実は仮の恋人でした…なんて弁解をしたところで、それを一体誰が信用してくれるのかが謎なのだ。
シュークリーム屋では社長のことを名前で呼び捨ててしまったし、養鶏所では彩月に彼氏と聞かれ、頷きたくもないが半ば認めるように首を縦に振ってしまった。
何よりあちこちの店やスーパーに出入りする、あのお喋りな若松君が知っている。
彼の口に勝ることなど、きっと私には出来ない。
ただひたすら、あの噂がデマだった…と皆が信用する日まで、辛抱強く時が過ぎるのを待つだけになるのだ。