マーメイドはホテル王子に恋をする?!
都会の真ん中に位置するスタイリッシュなホテルで、彼の持つ手腕を最大限に発揮できる場所になるだろう。
そこには私のような田舎娘はいなくて、綺麗でモデルのようにスラッとした気品溢れる美女が揃っていて、彼のことを幾らでも甘やかして溺愛するに違いないのだ。
私のように素直になれなくて、彼のことを好きでいても、それを声にも出せない立場の人間とは違う。
好きなら好き…とはっきり口に出せて、彼からも同じように甘い言葉を囁いて貰えるのだろうと思う。
想像するだけで色々と惨めになってくる。
あの社長室でのキスを最後に彼のことを忘れようと決心したのに、この体たらくは何だ。
いい加減に往生際が悪いぞ、花梨…と自分で自分を責めてみたところで、結局諦めがつかない。
いつかまた社長と二人きりの時間が持てないだろうか、たった数分でもいいから一瞬でもいいから…と願う気持ちが頭から離れていかない。
それなのに、現実というのは本当に厳しい。
夏の繁忙期がすぐ目の前に迫っているのに、社長には急な帰還命令が入ってしまった。
「誠に急で申し訳ないが、暫くこのホテルを空けることになった……」
月例の社員朝礼の場で、社長はいきなりこんな言葉を言い放った。
私はそれに一瞬で凍り付いた。
ザワザワと動揺する社員達の声に混ざることも出来ずに、ただ呆然と彼のことを見つめ続けた。
そこには私のような田舎娘はいなくて、綺麗でモデルのようにスラッとした気品溢れる美女が揃っていて、彼のことを幾らでも甘やかして溺愛するに違いないのだ。
私のように素直になれなくて、彼のことを好きでいても、それを声にも出せない立場の人間とは違う。
好きなら好き…とはっきり口に出せて、彼からも同じように甘い言葉を囁いて貰えるのだろうと思う。
想像するだけで色々と惨めになってくる。
あの社長室でのキスを最後に彼のことを忘れようと決心したのに、この体たらくは何だ。
いい加減に往生際が悪いぞ、花梨…と自分で自分を責めてみたところで、結局諦めがつかない。
いつかまた社長と二人きりの時間が持てないだろうか、たった数分でもいいから一瞬でもいいから…と願う気持ちが頭から離れていかない。
それなのに、現実というのは本当に厳しい。
夏の繁忙期がすぐ目の前に迫っているのに、社長には急な帰還命令が入ってしまった。
「誠に急で申し訳ないが、暫くこのホテルを空けることになった……」
月例の社員朝礼の場で、社長はいきなりこんな言葉を言い放った。
私はそれに一瞬で凍り付いた。
ザワザワと動揺する社員達の声に混ざることも出来ずに、ただ呆然と彼のことを見つめ続けた。