マーメイドはホテル王子に恋をする?!
本当にこのホテルに就任して良かった…と思っているような雰囲気が感じられて、聞いているこっちの胸も熱くなる。
それは勿論私だけではないらしく、他の社員達も全員、社長の話に感動しているように見えた。
「頑張ります!」と一番先に声を上げたのは誰か知らない。けれど、それを機に皆が一斉に盛り上がり始め、「頑張ろう!」と声を出し合った。
私の隣にいる片山さんも「潤ちゃんに頼まれたら仕様がないね」と言いだし、パチパチと温かい拍手を送っていた。
社員の間から疎らに起こった拍手は、いつの間にか全員がしている。
一人一人の顔が奮起している。
その人達の前にいる社長の目には薄っすらと涙が光り、潤んでくる瞳を見て、私は思わず胸の奥が疼いた。
彼が就任してきた頃、秘書の岩瀬さんが彼のことを「人一倍ホテルのことが好きで、熱いハートの持ち主なんです」と語っていた。
それはつまり、こういうことだったんだ…と思い知り、しみじみあの頃の自分は彼のことを何も知らないでいたのだな…と痛感した。
本社からの通達を社員に報告した後、彼は以前勤めていたホテルへと向けて出発した。
出発前、私には特に連絡もなく、只の従業員なんだから当然だよね…と思いつつ、玄関先から走り去るリムジンの背中をこっそりと見送るだけになってしまった。
それは勿論私だけではないらしく、他の社員達も全員、社長の話に感動しているように見えた。
「頑張ります!」と一番先に声を上げたのは誰か知らない。けれど、それを機に皆が一斉に盛り上がり始め、「頑張ろう!」と声を出し合った。
私の隣にいる片山さんも「潤ちゃんに頼まれたら仕様がないね」と言いだし、パチパチと温かい拍手を送っていた。
社員の間から疎らに起こった拍手は、いつの間にか全員がしている。
一人一人の顔が奮起している。
その人達の前にいる社長の目には薄っすらと涙が光り、潤んでくる瞳を見て、私は思わず胸の奥が疼いた。
彼が就任してきた頃、秘書の岩瀬さんが彼のことを「人一倍ホテルのことが好きで、熱いハートの持ち主なんです」と語っていた。
それはつまり、こういうことだったんだ…と思い知り、しみじみあの頃の自分は彼のことを何も知らないでいたのだな…と痛感した。
本社からの通達を社員に報告した後、彼は以前勤めていたホテルへと向けて出発した。
出発前、私には特に連絡もなく、只の従業員なんだから当然だよね…と思いつつ、玄関先から走り去るリムジンの背中をこっそりと見送るだけになってしまった。