マーメイドはホテル王子に恋をする?!
「社長も早くホテルに行って下さい。皆、帰りを待ち望んでいましたから。…ご結婚の報告も早く聞きたいと思っている筈です。だから早…」
自ら敗北宣言を口にして振り向くと、社長の目は私を凝視したまま動かない。
図星を指されて驚いたのか、半開きの唇さえも息を吐いてないように見えた。
その間の抜けた表情に皮肉にも笑みが浮かんだ。
こんな顔の社長を初めて見た。
いつもは自分が間抜け面だと言われてばかりだったけれど、今は彼の方が間抜けっぽい。
折角のハリウッドスターみたいな顔立ちも台無し。
そんな間延びした表情を見せても、私はもう何も言えないからーー。
涼し過ぎる潮風はさらさらと足元を流れていく。
マキシム丈のスカートの裾が揺らいで、まるで人魚の尾鰭のよう。
いつまでも動かない社長に、言ってはいけない事を話したのかもな…と反省の念が浮かんだ。
だけど、それは事実だからこそ、彼はこんなにも茫然と立ち竦んでいるのだろう。
「…しゃちょ……」
「ふざけるな」
お互いの声が被り、私は彼の顔を見直した。
見開いていた眼差しが少しだけ吊り上がり、唇がへの字口に変わっている。
明らかに就任してきた時と同じ雰囲気。暴君の彼が、目の前にいると焦った。
「あの…」
「いい加減にしろよ!何だよ、そのジョークは!」
自ら敗北宣言を口にして振り向くと、社長の目は私を凝視したまま動かない。
図星を指されて驚いたのか、半開きの唇さえも息を吐いてないように見えた。
その間の抜けた表情に皮肉にも笑みが浮かんだ。
こんな顔の社長を初めて見た。
いつもは自分が間抜け面だと言われてばかりだったけれど、今は彼の方が間抜けっぽい。
折角のハリウッドスターみたいな顔立ちも台無し。
そんな間延びした表情を見せても、私はもう何も言えないからーー。
涼し過ぎる潮風はさらさらと足元を流れていく。
マキシム丈のスカートの裾が揺らいで、まるで人魚の尾鰭のよう。
いつまでも動かない社長に、言ってはいけない事を話したのかもな…と反省の念が浮かんだ。
だけど、それは事実だからこそ、彼はこんなにも茫然と立ち竦んでいるのだろう。
「…しゃちょ……」
「ふざけるな」
お互いの声が被り、私は彼の顔を見直した。
見開いていた眼差しが少しだけ吊り上がり、唇がへの字口に変わっている。
明らかに就任してきた時と同じ雰囲気。暴君の彼が、目の前にいると焦った。
「あの…」
「いい加減にしろよ!何だよ、そのジョークは!」