マーメイドはホテル王子に恋をする?!
言葉を言わせないつもり?
それとも必死で誤魔化そうとしている?
「…いえ、あの…」
ドクドク…と心臓が怯える。
怖い人だと思うなんて、かなり久し振りだ。
私の前に立つ人が、苛立ちを抑えきれずに舌を打った。
その音にもビクッとなり、背中を伸ばす私のことを鋭い視線が捉える。
「橋本花梨」
ドスの効いた低い声で呼ばれ、私はぎゅっと体に力を入れた。
ブルブルと小刻みに震えているように思うのは、吹いてくる風の所為なのかどうか……
睨みを利かす彼を直視して、ゴクン…と唾を飲み込む。
間を埋めようと詰め寄る足先に怯え、若干、上半身を仰け反らした。
逃げたくても逃げれないくらい、彼のことが怖いーーー。
「馬鹿かお前!そのデマを信じるなっ!」
怒鳴りつけるが早いか、あっという間に腕を伸ばして抱き寄せられた。
ぎゅっと胸板に押し付けられ、頭を掻き抱くように大きな掌が髪の毛に触れる。
「あのデマは前のホテルで働いていた女子が流したんだ!タチの悪い女で、俺はその処理をしに行かされていただけだっ!」
歯痒そうに声を吐き出し、「嘘じゃない!」と訴える。
彼のワイシャツに顔を埋めるような格好でいる私には何があったのかまるで掴めず、ただ抱き締められたまま、耳の奥に響く彼の心音だけを聞いていた。
それとも必死で誤魔化そうとしている?
「…いえ、あの…」
ドクドク…と心臓が怯える。
怖い人だと思うなんて、かなり久し振りだ。
私の前に立つ人が、苛立ちを抑えきれずに舌を打った。
その音にもビクッとなり、背中を伸ばす私のことを鋭い視線が捉える。
「橋本花梨」
ドスの効いた低い声で呼ばれ、私はぎゅっと体に力を入れた。
ブルブルと小刻みに震えているように思うのは、吹いてくる風の所為なのかどうか……
睨みを利かす彼を直視して、ゴクン…と唾を飲み込む。
間を埋めようと詰め寄る足先に怯え、若干、上半身を仰け反らした。
逃げたくても逃げれないくらい、彼のことが怖いーーー。
「馬鹿かお前!そのデマを信じるなっ!」
怒鳴りつけるが早いか、あっという間に腕を伸ばして抱き寄せられた。
ぎゅっと胸板に押し付けられ、頭を掻き抱くように大きな掌が髪の毛に触れる。
「あのデマは前のホテルで働いていた女子が流したんだ!タチの悪い女で、俺はその処理をしに行かされていただけだっ!」
歯痒そうに声を吐き出し、「嘘じゃない!」と訴える。
彼のワイシャツに顔を埋めるような格好でいる私には何があったのかまるで掴めず、ただ抱き締められたまま、耳の奥に響く彼の心音だけを聞いていた。