マーメイドはホテル王子に恋をする?!
私達の前では決して「さん」付けで呼ばなかったけれど、本来二人だけの時には必ず「さん」を付けて呼んでいるような優しい雰囲気が彼にあった。
岩瀬さんは肩を抱かれている私にも笑みを見せ、「お久し振りですね」と声をかけてきた。
「はい。岩瀬さんもお元気そうで安心しました」
私がそう返すと、社長はこっちへ振り向いた。
何かを言いたげにしながら、それでも何も言わずに肩から手を下ろした。
「勝手に帰るなよ。きちんと話がしたいから」
私の方こそ何もかも問いたい。
貴方がこの土地とどんな深い繋がりがあって、前のホテルでの騒ぎの元になった女性とは、その後どんなふうに話が着いたのかも知りたい。
「わかりました。帰りません」
目をしっかりと見て答えたからだろうか。
社長は安心したように息を吐くと、ハリウッドスター並みに肩で風を切りながら、ホテルのアプローチを進んで行った。
ロビーに着くと、絹を裂いたような女子社員の奇声が響き渡り、そこに居たお客様達が驚いて振り返る。
準夜勤務でフロントに居た大川主任が彼を出迎え、ラウンジにいた社員達も集まりだした。
誰もが皆、目に涙を浮かべているみたいだ。
それを見ていた私も涙が溢れそうになって、慌てて玄関の壁に姿を隠して拭った。
あれこれと悪態をついて素直になれなかったけれど、やっぱり彼に会えて嬉しい。
岩瀬さんは肩を抱かれている私にも笑みを見せ、「お久し振りですね」と声をかけてきた。
「はい。岩瀬さんもお元気そうで安心しました」
私がそう返すと、社長はこっちへ振り向いた。
何かを言いたげにしながら、それでも何も言わずに肩から手を下ろした。
「勝手に帰るなよ。きちんと話がしたいから」
私の方こそ何もかも問いたい。
貴方がこの土地とどんな深い繋がりがあって、前のホテルでの騒ぎの元になった女性とは、その後どんなふうに話が着いたのかも知りたい。
「わかりました。帰りません」
目をしっかりと見て答えたからだろうか。
社長は安心したように息を吐くと、ハリウッドスター並みに肩で風を切りながら、ホテルのアプローチを進んで行った。
ロビーに着くと、絹を裂いたような女子社員の奇声が響き渡り、そこに居たお客様達が驚いて振り返る。
準夜勤務でフロントに居た大川主任が彼を出迎え、ラウンジにいた社員達も集まりだした。
誰もが皆、目に涙を浮かべているみたいだ。
それを見ていた私も涙が溢れそうになって、慌てて玄関の壁に姿を隠して拭った。
あれこれと悪態をついて素直になれなかったけれど、やっぱり彼に会えて嬉しい。