マーメイドはホテル王子に恋をする?!
「どうしてなんだ」
納得のいかない様子だ。
私はそれにすみません…と謝り、先ずは色々と聞かせて下さい…と願った。
ハァーと大きく息を吐き出し、社長は仕様がなさそうに私の肩を抱いて部屋の奥へと進み、カウチソファの上にお尻を下ろすと足を組んで、肘掛けの部分に背中を凭れた。
「お疲れの時にすみません。さっきも聞きましたが、社長はこの土地とどんな関係があるんですか?」
就任直後、お土産コーナーで働く片山さんが、子供の頃に何度かホテルへ泊まりに来ていたと話していた。
たかがバカンスで訪れただけにしては、余りにも彼のことを知っている人が多過ぎる。
「花梨は何も知らないのか?」
「何をですか?」
「このホテルの創設者は俺の父親なんだけど」
「えっ」
「ついでに言うなら母親はこの町の出身者で、若い頃は海女をやっていたそうだ」
「うそぉ…」
「そんな嘘を吐いてどうする。全部本当のことだぞ」
呆れたような言い方をする。
俄かには信じ難い事実だけれど、それなら彼を知っている人が多くても不思議ではない。
「父はこのホテルを建てている最中に母と出会って恋に落ちた。でも、建って数年後には次の場所へ赴任することが決まっていて、そこへ向かう時に母も一緒にこの土地を離れたんだ。
納得のいかない様子だ。
私はそれにすみません…と謝り、先ずは色々と聞かせて下さい…と願った。
ハァーと大きく息を吐き出し、社長は仕様がなさそうに私の肩を抱いて部屋の奥へと進み、カウチソファの上にお尻を下ろすと足を組んで、肘掛けの部分に背中を凭れた。
「お疲れの時にすみません。さっきも聞きましたが、社長はこの土地とどんな関係があるんですか?」
就任直後、お土産コーナーで働く片山さんが、子供の頃に何度かホテルへ泊まりに来ていたと話していた。
たかがバカンスで訪れただけにしては、余りにも彼のことを知っている人が多過ぎる。
「花梨は何も知らないのか?」
「何をですか?」
「このホテルの創設者は俺の父親なんだけど」
「えっ」
「ついでに言うなら母親はこの町の出身者で、若い頃は海女をやっていたそうだ」
「うそぉ…」
「そんな嘘を吐いてどうする。全部本当のことだぞ」
呆れたような言い方をする。
俄かには信じ難い事実だけれど、それなら彼を知っている人が多くても不思議ではない。
「父はこのホテルを建てている最中に母と出会って恋に落ちた。でも、建って数年後には次の場所へ赴任することが決まっていて、そこへ向かう時に母も一緒にこの土地を離れたんだ。