マーメイドはホテル王子に恋をする?!
だけど、俺が小学生までは母の実家に何度か泊まったこともあるし、夏休みになったら専らこのホテルか町内にある別荘に住んでいたしな」


「別荘…」


「ああ、今まで改築中だったんだ。何年間も放ったらかしにしておいたから、床板が腐ってて住めなくてさ。
でも、前のホテルに行ってる間に板の張替えも済んだし、明後日辺りにはそっちへ移ろうかとも思うんだけど」


「…あの」


「ん?」


「その前のホテルでのことなんですけど、さっき言っていた元女性社員さんとは何か特別な関係じゃ……」

「ないよ」


発言を奪い取るように口を出され、少しムッとする。


「早く否定しておかないと余計な詮索するだろう。根も葉もないことを聞かれたり想像されるのは嫌だ。
その女子社員とは何も関係ないし、向こうが勝手に俺を好きになって、ストーカーみたいな行為を繰り返していただけだ。
しつこく誘われたり電話をしてくるから解雇した。
そしたら今度はネットで悪評騒ぎ。
……全く厄介な女だと思ったよ。自分の思う通りにならないと犯罪まがいの行為まで犯すんだからな」


「その人は今は?」


「知るか。俺はホテルの責任者として被害届を出した後は、全て警察に任せたから」


最後のデマがあの偽の結婚話だったそうだ。


ニュースの掲示板にあれを書き込んだことで、多分足が着いたんだろう…と予想した。


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