マーメイドはホテル王子に恋をする?!
「女の流した悪評の所為で、前に居たホテルの客足が落ち込んだ。風評被害を払拭するのに時間も掛かって、なかなか帰れなくて悪かった。
俺としては離れたホテルことなんて、もうそっちで何とかやれよという気分だったんだけど」
「嘘…」
私の呟きに眉尻を上げて「何故?」と聞き返す。
こっちは秘書の岩瀬さんから彼がホテルを好きだと聞いているから、それは絶対に口先だけの嘘だと思った。
「社長はホテルことになると放っておけない人だと思います。自分が携わったことのあるホテルなら、尚のこと放っておかないと思う」
いろんなホテルで改革担当をしていると片山さんから聞いた。
そう言えばあの初日の日、二人が話していた『酸っぱい夏ミカン事件』というのは何だろうか。
「確かに俺は自分の関わったホテルは大事に思っているよ。だけど、今回は本当にお前達で何とかしてくれという気分だった」
「どうして?」
「それを聞くのか?」
「えっ…」
「だとしたら花梨、お前はかなりの無粋者だぞ」
そう言いながら腕を引っ張り寄せてしまう。
胸板の上に私の上半身を乗せ、背中に腕を回した。
「社長…!」
ドクドク…と治っていた動悸が始まる。
私の髪を撫でながら顔を寄せてくる彼から視線が外せない。
俺としては離れたホテルことなんて、もうそっちで何とかやれよという気分だったんだけど」
「嘘…」
私の呟きに眉尻を上げて「何故?」と聞き返す。
こっちは秘書の岩瀬さんから彼がホテルを好きだと聞いているから、それは絶対に口先だけの嘘だと思った。
「社長はホテルことになると放っておけない人だと思います。自分が携わったことのあるホテルなら、尚のこと放っておかないと思う」
いろんなホテルで改革担当をしていると片山さんから聞いた。
そう言えばあの初日の日、二人が話していた『酸っぱい夏ミカン事件』というのは何だろうか。
「確かに俺は自分の関わったホテルは大事に思っているよ。だけど、今回は本当にお前達で何とかしてくれという気分だった」
「どうして?」
「それを聞くのか?」
「えっ…」
「だとしたら花梨、お前はかなりの無粋者だぞ」
そう言いながら腕を引っ張り寄せてしまう。
胸板の上に私の上半身を乗せ、背中に腕を回した。
「社長…!」
ドクドク…と治っていた動悸が始まる。
私の髪を撫でながら顔を寄せてくる彼から視線が外せない。