マーメイドはホテル王子に恋をする?!
だけど、私はもっと自分を磨いて、彼の恋人として誰からも白い目で見られたくないと思う。

いつの日か彼がこの町を離れ、何処か別のホテルに行く日が来た時は、自分も「一緒に行こう」と言って貰いたいと願うから……。



冬の閑散期が訪れて、ホテルが再び暇になる。
大広間の改修工事もあり、今年度は忘年会や新年会の予約も少ない。


その間、私達戦略部隊が何をしていたか。
それは春から行うことになった婚活パーティーのチラシ作りやホテルのPR動画の作成だ。


厨房のシェフやパティシエからはマナー教室を開いてみてはどうかという意見も出され、地元の農産品や畜産、海産物なども仕入れられるようになった今、それらを使った料理を地元の人達にも提案してみたいということだった。


いろんなセクションの人達が様々な意見を持ち寄る。
時には地元の人達も交え、何度も何度も話し込んだ。


春先にはチャペルの外観を包んでいたシートが外され、町内の人達からは「まるで巻き貝みたいね」という意見も出された。

社長の話では内装も真っ白にしたいようだ。
花の色が映るし、新郎新婦も招待客の服の色も映えるだろうというのが狙いだった。



「花梨、この町には神父はいるか?」


ある日の夜、夕食を食べながら問われた。
私は神主なら知っているけれど、神父様がいるかどうかまでは知らない。


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