マーメイドはホテル王子に恋をする?!
泣いたところで何かが変わる訳ではない。
それなら貴方がこのホテルにいる間は、私もフロントの業務を頑張る。
貴方が去ったらビーチから海に入って、泡にはならないとは思うけれど、目一杯潮水の中で泣こう。
マーメイドと呼ばれる人間に相応しく、海の中に恋を捨てるーーー。
そう決めたら泣くのも今ではない。
ぐいっと奥歯を食いしばり、手の甲で涙を拭った。
「…すみません。お話の続きを伺います」
精一杯強がった。
社長は困惑したままの表情で、上から私のことを見下ろしている。
あまりにも真面目そうに見守るものだから、きゅん…と胸が疼いてきて仕方ない。
そんな目で見ないで欲しい。
気持ちが断ち切れなくなるから。
「ごめん」
やっぱり謝るんだ。
……もうお終いなんだね。
ズキンと痛みの走る心臓を握りしめるように拳を胸に押し付けた。
制服のボタンをぎゅっと握り、彼が言う言葉を待った。
「…悪い。話す順番を間違えた。花梨、俺がホテルを離れる時、一緒にこの町を出てくれないか。俺と結婚して二人で次のホテルへ行こう」
問い掛ける彼の言葉を聞きながら、何処か嘘のように思った。
無言で目を向けると神妙そうな顔をされ、どうすればいい?と自分に問い掛ける。
答えはYESに決まっている。だけど、アッサリ応じてもいいものかどうか。
「どうしよう……」
それなら貴方がこのホテルにいる間は、私もフロントの業務を頑張る。
貴方が去ったらビーチから海に入って、泡にはならないとは思うけれど、目一杯潮水の中で泣こう。
マーメイドと呼ばれる人間に相応しく、海の中に恋を捨てるーーー。
そう決めたら泣くのも今ではない。
ぐいっと奥歯を食いしばり、手の甲で涙を拭った。
「…すみません。お話の続きを伺います」
精一杯強がった。
社長は困惑したままの表情で、上から私のことを見下ろしている。
あまりにも真面目そうに見守るものだから、きゅん…と胸が疼いてきて仕方ない。
そんな目で見ないで欲しい。
気持ちが断ち切れなくなるから。
「ごめん」
やっぱり謝るんだ。
……もうお終いなんだね。
ズキンと痛みの走る心臓を握りしめるように拳を胸に押し付けた。
制服のボタンをぎゅっと握り、彼が言う言葉を待った。
「…悪い。話す順番を間違えた。花梨、俺がホテルを離れる時、一緒にこの町を出てくれないか。俺と結婚して二人で次のホテルへ行こう」
問い掛ける彼の言葉を聞きながら、何処か嘘のように思った。
無言で目を向けると神妙そうな顔をされ、どうすればいい?と自分に問い掛ける。
答えはYESに決まっている。だけど、アッサリ応じてもいいものかどうか。
「どうしよう……」