マーメイドはホテル王子に恋をする?!
フロントからは私と大川主任が出席し、ラウンジからは責任者を任されている田邊さん。
客室担当からはチーフとリーダーの三人が呼ばれ、厨房からはメインシェフとパティシエが来た。
それからお局様の片山さんとガーデン担当の船木さんが現れ、計十一人が集結。
小山内社長はこのメンバーを『戦略部隊』と呼んだ。
いきなり戦争でもおっ始めるの~?と揶揄う片山さんに冷めた目線を配り、ゴホン!と一つ咳払いをした。
「今日からホテル内の大改造を始めるぞ」
鶴の一声ならぬ王子の言葉に、室内にいる全員が唖然とする。
何やら大掛かりなことでも始めるのかと慄いたが、先ずは出来るところから手を出す…と続けた。
「この二日間ホテル内を歩いて回り、気が付いたことをメモした。皆の前に置いてある資料を見て欲しい。自分達のセクションに関係する部分だけを読み込んでくれ」
少しの間、皆は無言でその資料を眺めた。
私もフロントに関する部分の記述を読んだが、一番最初の項目を見たらムッとして、その先を読む気が失せてしまった。
だって、こんなことを書いているのだから。
『フロントの女性が野暮い』
これって明らかに私だよね。
違うと言っても、一昨日も昨日も女性は私しか勤務していなかったもの。
(腹立つ~、何よこれ)
ムカムカとしてくるのを覚え、とにかく読んでもない紙面に目を落としていた。
客室担当からはチーフとリーダーの三人が呼ばれ、厨房からはメインシェフとパティシエが来た。
それからお局様の片山さんとガーデン担当の船木さんが現れ、計十一人が集結。
小山内社長はこのメンバーを『戦略部隊』と呼んだ。
いきなり戦争でもおっ始めるの~?と揶揄う片山さんに冷めた目線を配り、ゴホン!と一つ咳払いをした。
「今日からホテル内の大改造を始めるぞ」
鶴の一声ならぬ王子の言葉に、室内にいる全員が唖然とする。
何やら大掛かりなことでも始めるのかと慄いたが、先ずは出来るところから手を出す…と続けた。
「この二日間ホテル内を歩いて回り、気が付いたことをメモした。皆の前に置いてある資料を見て欲しい。自分達のセクションに関係する部分だけを読み込んでくれ」
少しの間、皆は無言でその資料を眺めた。
私もフロントに関する部分の記述を読んだが、一番最初の項目を見たらムッとして、その先を読む気が失せてしまった。
だって、こんなことを書いているのだから。
『フロントの女性が野暮い』
これって明らかに私だよね。
違うと言っても、一昨日も昨日も女性は私しか勤務していなかったもの。
(腹立つ~、何よこれ)
ムカムカとしてくるのを覚え、とにかく読んでもない紙面に目を落としていた。