マーメイドはホテル王子に恋をする?!
だけど、私がやってもこのジミな顔は変わらないの。
二十六年付き合ってきて、それは自分が一番わかっているんだから。
(悔しい~!恨んでやる~!)
行灯程度の明かりに集まるのはお化けだと言ったよね?!
私がそのお化け第一号になってやろうじゃないの!
(五寸釘用意して……それから藁人形も……)
戦略会議がおかしな方向に流れて行っている。
だけど、私の頭の中は小山内社長への怒りでいっぱいになっていた。
二時間程で会議は済んだ。
私の怒りは小一時間で収まり、五寸釘も藁人形もまた今度でいいか…と気持ちを切り替えていた。
「おい、マーメイド」
だから、私はマーメイドじゃなくて、橋本花梨という名前があるんです~!
「……何でしょうか。社長」
不満を抱きながら振り向き、営業用のスマイルを浮かべる。
私も貴方を王子って呼ぶよー!…と、呼べもしないのに考えた。
「男はいるか?」
「はっ?」
「いや、悪い。その様子だといないな」
「えっ…」
「次の休みに予定はあるか?」
「…別に…何もありませんけど……」
何よぉ…身辺調査なの?
「だったら俺に付き合え」
「はっ?…何にですか?」
「観光するから付き合え」
「観光?」
「この付近の名所を案内しろ。心配するな、君に手を出したりはしない」
二十六年付き合ってきて、それは自分が一番わかっているんだから。
(悔しい~!恨んでやる~!)
行灯程度の明かりに集まるのはお化けだと言ったよね?!
私がそのお化け第一号になってやろうじゃないの!
(五寸釘用意して……それから藁人形も……)
戦略会議がおかしな方向に流れて行っている。
だけど、私の頭の中は小山内社長への怒りでいっぱいになっていた。
二時間程で会議は済んだ。
私の怒りは小一時間で収まり、五寸釘も藁人形もまた今度でいいか…と気持ちを切り替えていた。
「おい、マーメイド」
だから、私はマーメイドじゃなくて、橋本花梨という名前があるんです~!
「……何でしょうか。社長」
不満を抱きながら振り向き、営業用のスマイルを浮かべる。
私も貴方を王子って呼ぶよー!…と、呼べもしないのに考えた。
「男はいるか?」
「はっ?」
「いや、悪い。その様子だといないな」
「えっ…」
「次の休みに予定はあるか?」
「…別に…何もありませんけど……」
何よぉ…身辺調査なの?
「だったら俺に付き合え」
「はっ?…何にですか?」
「観光するから付き合え」
「観光?」
「この付近の名所を案内しろ。心配するな、君に手を出したりはしない」