マーメイドはホテル王子に恋をする?!
隣でうんうんと頷く大川さんも怪しげに見えてきだして、私は採用されたら何の仕事をするのでしょうか?と尋ねた。


「フロント業務をお願いします。交代制で働くことになりますが、まぁ若いから大丈夫でしょう。準夜も夜勤もあるけど、多分直ぐに慣れると思うし」


「準夜!?夜勤!?」


聞いてないよ〜、と言うか、そんなのしたことない〜!


「じ、自信ありません。そんな仕事…」


面接に来ておいて、最初からボロを出しまくった。
絶対に不採用になると確信したのに、このホテルは余程勤めてくれる人が居ないのだろう。


「大丈夫、大丈夫。君は若いから直ぐに慣れるよ」


そういう問題なのー?!つまり、私には拒否権はないってことー?!


呆気に取られて、結局、お断りも出来ずに勤めることになった。
フロント業務のノウハウを大川主任に習いながら、交代制で働くのだ。




「いやー、目出度い!」


美味しそうに晩酌を煽る父の顔を睨み付けた。
私というお荷物が増えたおかげで、自分のお酒の量を減らされるところだったらしい。


「松本先生のお陰だよな。母さん、明日早速お礼を言いに行けよ。花梨、お前も就職おめでとう!」


わはは…と豪快に笑い飛ばす父に反論する気も起きなかった。
確かに仕事が決まってホッとしたし、取り敢えず働かないと遊ぶお金ですら手に入らない。

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