マーメイドはホテル王子に恋をする?!
名前で呼んでもいいか。
いや、良くはないが社長の希望でもあるし。
ゴクン、と唾を飲んで覚悟を決めた。
ここで名前を呼んだら今日のミッションは完了するのだと思おう。
「……じゅ…潤也…さん……」
カーッと全身の毛穴が開き、汗が噴き出そうになる。
顔中が熱くて、思わず下を向いてしまった。
社長の顔など拝めない。
広い肩幅を窄めるだけ窄め、小さくもない体をなるべくコンパクトに収めたい気分だった。
社長は少しの間、黙っていた。
満足したのか席を立ったから、私も立とうと料理の乗っていた台に手を付いた。
「花梨」
スッと目の前に伸びてきた掌は、手相がハッキリしていて生命力に溢れていそうだ。
自分の手よりも大きくて肉厚なものを見つめて固まっていたら、「捕まれ」と声がした。
「え……」
顔を上げると社長は柔らかく笑っている。
その吸い込まそうな笑顔に胸の音が速くなる。
社長は台に付いていた手とは反対の手を優しく掬い上げた。
包み込むように手を握り、プリンセスをエスコートするプリンスみたいに私の体を上へと引き上げた。
ふわっとスカーツの裾が揺れて、まるで一瞬だけドレスのように広がる。
立ち上がるとゆっくりと手は離されていった。
「行こう。次は何処に連れて行ってくれるんだ?」
いや、良くはないが社長の希望でもあるし。
ゴクン、と唾を飲んで覚悟を決めた。
ここで名前を呼んだら今日のミッションは完了するのだと思おう。
「……じゅ…潤也…さん……」
カーッと全身の毛穴が開き、汗が噴き出そうになる。
顔中が熱くて、思わず下を向いてしまった。
社長の顔など拝めない。
広い肩幅を窄めるだけ窄め、小さくもない体をなるべくコンパクトに収めたい気分だった。
社長は少しの間、黙っていた。
満足したのか席を立ったから、私も立とうと料理の乗っていた台に手を付いた。
「花梨」
スッと目の前に伸びてきた掌は、手相がハッキリしていて生命力に溢れていそうだ。
自分の手よりも大きくて肉厚なものを見つめて固まっていたら、「捕まれ」と声がした。
「え……」
顔を上げると社長は柔らかく笑っている。
その吸い込まそうな笑顔に胸の音が速くなる。
社長は台に付いていた手とは反対の手を優しく掬い上げた。
包み込むように手を握り、プリンセスをエスコートするプリンスみたいに私の体を上へと引き上げた。
ふわっとスカーツの裾が揺れて、まるで一瞬だけドレスのように広がる。
立ち上がるとゆっくりと手は離されていった。
「行こう。次は何処に連れて行ってくれるんだ?」