マーメイドはホテル王子に恋をする?!
いらっしゃいませ、と言おうとしたが途端にこれ。
ポカンとして彼を見上げれば、「大川は何処だ」と太い声が不機嫌そうに尋ねる。
どうもコンシェルジェをしている大川主任の知り合いらしい。
あのおじさん、見かけに寄らずVIPと知り合いなのか。
「大川は只今席を外しておりますが、直ぐに呼んで参りますので、あちらのラウンジでお待ち頂けますか」
水平線が望める海の方を掌で示して見せた。
ちらっとそっちに顔を向けた男性は「チッ」と聞こえそうで聞こえない程度の舌を打つ。
感じ悪ぅ〜と言うか、何だかとっても偉そうな人だと呆れたけれど、それは表情にも出したらいけない。
仕様がなさそうにラウンジへ向かいだす男性の背中を目で追いかけながら、素早く内線電話の番号をプッシュした。
プープー…という通信音の後、大川主任のバリトンボイスが電話口から聞こえてきた。
「はい、大川です」
「フロント橋本です」
「ああ、マーメイドちゃん。何?」
社長が不在の間、代わりに仕事をこなしている主任は、ガサガサと書類を触るような音を立てている。
「どなたか知りませんがお客様です。とっても偉そうな感じの方」
「偉そうな?」
「ええ。とんでもなく傲慢そうに見えました。お付きの方が一緒なんですが、その人が無理矢理連れて来られた宇宙人のように見えるくらいに」
「ブフッ…」
ポカンとして彼を見上げれば、「大川は何処だ」と太い声が不機嫌そうに尋ねる。
どうもコンシェルジェをしている大川主任の知り合いらしい。
あのおじさん、見かけに寄らずVIPと知り合いなのか。
「大川は只今席を外しておりますが、直ぐに呼んで参りますので、あちらのラウンジでお待ち頂けますか」
水平線が望める海の方を掌で示して見せた。
ちらっとそっちに顔を向けた男性は「チッ」と聞こえそうで聞こえない程度の舌を打つ。
感じ悪ぅ〜と言うか、何だかとっても偉そうな人だと呆れたけれど、それは表情にも出したらいけない。
仕様がなさそうにラウンジへ向かいだす男性の背中を目で追いかけながら、素早く内線電話の番号をプッシュした。
プープー…という通信音の後、大川主任のバリトンボイスが電話口から聞こえてきた。
「はい、大川です」
「フロント橋本です」
「ああ、マーメイドちゃん。何?」
社長が不在の間、代わりに仕事をこなしている主任は、ガサガサと書類を触るような音を立てている。
「どなたか知りませんがお客様です。とっても偉そうな感じの方」
「偉そうな?」
「ええ。とんでもなく傲慢そうに見えました。お付きの方が一緒なんですが、その人が無理矢理連れて来られた宇宙人のように見えるくらいに」
「ブフッ…」