狂愛
「……マヤちゃん、どうして?僕、何かした?」
彼の縋るような声に涙がでるのを堪える。
今泣いてはいけない。
私には泣く資格はない。
「“飽きた。もう智樹のことは好きじゃない”」
何度も練習した言葉を淡々と感情を込めずに言ってみせる。
彼は驚いているのか、綺麗な目をこれ程かというように見開いている。
彼の顔は俗に言うイケメンというやつだ。
彼が道を歩くと誰もが振り返り見惚れる、そんな風貌をしている。