狂愛
優しい彼は私の言ったことはすべて叶えようとする。
自身の意思より私の意思。
私はそれをどこかで分かっていたのだろう。
落胆よりも、呆れの気持ちが勝ってしまう。
所詮彼もその程度だったのだ。
お互いのこれからの為にここでお別れした方が良い。
「本当にごめんね。今日はお別れと私のここにある荷物を取りに来たの」
「……うん。そっか」
飲みかけのカップをテーブルに置き立ち上がると彼が私の手を握った。