狂愛
ーードキ
久しぶりに訪れるその感覚に少々驚きながら彼を眺める。
「それ飲んでからでいいよ。マヤちゃんは座ってて。僕が準備するから」
「あ、りがとう……」
高鳴る鼓動が冷めていくのが分かった。
「(なんだ。引き留めようとしたんじゃないのね)」
少しばかりの残念な気持ちを顔を出さないようにして座り直し、暖かいカップを手に取る。
それを見届けた彼は、私の荷物が置いてあるだろう部屋の奥へと進んでいった。