狂愛
「はぁ……。あっけないなー」
カップの熱のある部分を手のひらに当てていると、体温が戻っていくのがわかる。
私はとても冷え性で暖房をガンガンに効かせても体が冷えていってしまう。
いつもならばそれを見兼ねた彼が私を包み込み(彼の体温はとても高い)、夜を過ごすのだが、今日はそれをしない。
当然といえば当然だが……。
寂しく感じてしまっている自分に気づき、盛大にため息をついた。
私から別れを告げたのだ。
それを寂しく感じてしまってどうする。
コロコロと気持ちの変わる都合の良い自身に心底呆れてしまう。
カップの中をすべてを飲み終わったときに、彼が大きな荷物を抱えて戻ってきた。