狂愛




彼とは想像もつかない鋭い瞳。



初めて見たその表情に怖気づいた。



いつも彼から感じる“安心”はなく、“恐怖”だけが胸に広がった。





「……あーあ、せっかく普通にマヤを愛そうと思ったのに……残念」





地の底を這うような低い声を出して近づいてくる彼に困惑し、取り敢えず後ろに引き下がる。





「なんで逃げるの?」



「……」





背中に壁があたり、焦った私は必死にドアノブを回そうと試みた。



< 37 / 68 >

この作品をシェア

pagetop