狂愛
ーーが、それは何かによって固定されているのかピクリとも動かない。
何度も試してみるが同じことの繰り返しだった。
「逃げようとしても無駄だよ。どこからも逃げられないから」
「……は、なんっ、、」
ガタガタと震える足に耐えきれず、壁に背を預けたままずり下がっていった。
そのすきを狙ってかすぐさま近づいてくる彼。
「もう喋ることすら難しいでしょ?」
「…………」
優しく私の頬を撫でる彼の暖かい指先に、私の体は壊れたように冷たくなっていく。