狂愛
「俺も君のことをずっとみていた。勉強が得意なのも運動が得意なのも、君にすごいと思ってほしかったから。生徒会長なのは少しでも君に見てほしかったから。サッカーが1番好きなのもそれをしているとき、君の目が1番輝くから。いちごミルクが好きなのは君が好きだから。君の家の場所、家族構成、身長、体重。俺もたくさん──いや、知らないものがないくらいに君のことを熟知しているよ」
その場にいる誰もが絶句した。
生徒が皆同じ顔で固まる姿はハタから見れば滑稽だ。
「君がいつも俺の後をつけていたのは知っていたよ」
「気づかれていましたか」
「言ったろう?君のことで知らないものなどない、と」
これははたして本当にあの彼なのか?
その場にいる誰もが思ったことだろう。