狂愛
あたしには高校時代、想いを寄せる男性がいた。
年上で包容力があり、とても綺麗な顔立ちで、一緒にいるとこちらまで安心させられる人だった。
今までの好きになった誰よりも好きで、我慢出来ずに告白すると、あたしの決死の覚悟とは裏腹に呆気なく了承してもらい、付き合い始めた。
しかしその男性は立場上あたしと付き合うのは倫理に反したため、誰にも話さず、秘密の恋人をしていたのだ。
しかしそれが凶と出たのか、彼は同じ職場の女性と婚約してしまった。
本当に好きで好きで、彼を忘れたくていろんな人と付き合った。
地味で大人しい人と付き合うと、絶対に浮気はせず、あたしの意見を最優先にしてくれる。
裏切られる心配がない。傷つかなくて済む。
しかしそれは何よりも大好きだった彼を忘れる代わりにしかならなくて。