狂愛




虚しくなるばかりだった。



毎日のように目に入る彼は、あたしのことなんかもうどうでもいいというように婚約者と楽しそうに話していた。





「お前が言ってくれた言葉は今でも俺に響いてる」



「え?」





玲音は包んでいたあたしの両頬を離すとあたしと真正面から向き合った。





「“本当に好きな人がいないなんて可哀想だね”ってな」



「あ、あれは……」



「俺のこと見ない奴いるな、と最初は物珍しさからお前のことみてた。その上そんなこと言ってくるし……。臭いやつだって思ってて、でもそいつの顔みてたらたぶんこいつは本心からそう言ってんだろうって」



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