狂愛
“捨てる” その言葉に動揺するあたしは、無意識で玲音の右手を強く握り返していた。
「……その後のお前の顔をみてたら、いろんな感情が沸き起こって。俺なら幸せにしてやるのに、お前しかみないのに……って柄にもねぇこと思っちまって、やっと自分の気持ちを自覚した」
玲音は俯いており、表情は分からない。
握られる左手も力が弱まっているようだ。
「だからお前と同じ大学に行ったし、今までの女全員との関係もきった。お前に近づく男がいれば裏でいろいろ手を回して、もうお前が泣かないようにした。今まで一人の女にこんなに固執したのはなかった。それなのにお前は──」
「……あ、の玲音……」