狂愛




最早今までの彼はいなかった。



変わってしまった。



いや、彼は最初から “こう” だったのだ。それが姿を現したというだけ。





「落ち着いてください、先輩」





ずっと静かだった彼女が彼に近づき、小さく笑った。



それだけで心が和らぎ、口を緩ませる彼。



彼は彼女の頭に手をおき、ゆっくりと優しく撫でた。





「私もものすごく腹が立ってますから」



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