××したいくらい、好き。
とぼとぼと、あてもなく廊下を歩いていたとき。
角を曲がると、階段が見えた。
ああ僕、さっきはこの階段を上って屋上に行って、絆奈を見つけたんだよなあ。
走って走って、めちゃくちゃ探したなあ。
やっと見つけることができて安心したけど、絆奈は泣いていて。
きっと何かあったんだろうなって思って声をかけようとしたけれど。
いつもの、ただ泣いている感じとは少し違ってて。
ただ事じゃない。
そう思った。
そしたらなんと、絆奈は僕に「遊びのくせに」だとか「もう信じられない」だとか言うじゃないか。
何のことかさっぱりわからなかったよ。
でも、少なからず絆奈は、そう思っていたってことだよなあ…。
「はあああああ……」
途方に暮れるって言葉がぴったりなんじゃないかな、今の僕には。
「絆奈、大丈夫かなあ……」
ぽつりと、そうつぶやいたときだった。
「なあ、やっぱり絆奈って、バカイトに遊ばれてるに1000円!!」
「?」
なんか今、愛しい僕のプリンセスの名前が聞こえてきた気が…?
ああ、会いたすぎてついに幻聴まで聞こえてきたのかな……
「いや、逆にバカイトが絆奈に利用されてるに1000円!!」
「……!!」
気のせいじゃなかった。
幻聴じゃなかった。
僕はそっと、声が聞こえてきた所…
階段の裏を、そっと覗き混んだ。