××したいくらい、好き。
「か、かいとくん…私百合じゃないし…」
気づけば絆奈は苦笑いを浮かべていた。
「いや、百合に例えたのが申し訳ないくらいだった」
「言い過ぎだよ~」
でも…と、絆奈はつづけた。
「私と出会った日を覚えててくれてるなんて嬉しい…。ありがとう、かいとくん」
これから毎年、お祝いしなきゃね、なんて笑っている君。
そんな君に、朗報だよ、絆奈。
「ちなみに、明日は『絆奈ちゃんが僕が仕掛けた石に躓いた日』だよ」
「え」
絆奈の笑顔が瞬時にひきつる。
「明後日は『絆奈ちゃんが長袖の体育着を初めて着た日』」
「な……」
「その次の日は…」
「まだあるの!?」
絆奈は、何に興奮しているのか、ゼエゼエと荒く呼吸している。
「うん、もちろん。365日絆奈の日だよ」
「な……」
僕は、くすりと笑った。
「君といる毎日が、僕の幸せな日ってこと」
そう言って、君を抱きしめた。
そう。
君という存在が、僕の幸せ。
まだまだ記念日は更新され続けることだろう。
そのたびに僕は思うんだ。
「…大好きだよ、絆奈」
そう。
殺したいくらい、ね。