××したいくらい、好き。
「!!」
なっちゃんと並び、教室に向かって廊下を歩いていたときだった。
ちょうど私たちが入ろうとしていた教室から出てきた、ぴょこんと寝癖がついた黒い髪の男の子。
その人と、ばっちり目が合ってしまった。
「………」
その人は、じっと私を見つめると、すたすたと歩み寄ってくる。
「う、あ……」
まずい、この距離は私の許容範囲外……っ!!
体中に力が入る。
「きずなちゃん」
優しい声で、私の名前を呼んだ彼は。
「おはよう。今日もかわいい」
私の両手を包んで、にこりと笑った。
彼の黒い瞳に、目を見開いた私の顔がばっちり写っている。
「か、か、かわいくなんて……!!」
必死で撤回しようとする言葉とはうらはらに、慣れない事を言われたせいで顔はものすごく熱くなっていた。