××したいくらい、好き。
そうだよ。
私は、なっちゃんみたいに肌や爪が綺麗なわけじゃないし、ぱっとしないし、自分のいいところなんて一つも出てこなくて自己アピール、自己紹介って言葉が世の中で一番嫌いな私だよ?
下唇を噛みながら、視線をさらに下へと向けたとき。
にょっと、彼が私の顔をのぞき込んできた。
「きずなちゃん」
そして、真顔のまま私の唇へと手を伸ばした彼。
「僕が噛んであげる」
「…っな……!?」
そのまま大きな手で顎をつかまれ、強引に上を向かされた。
そして急激に近づく距離に、声も出せないでいた時。
「うおーい。何してんだこのバカイト!!」
パコンっと棒状に丸めたプリントで、誰かが彼の頭を後ろから叩いた。
『バカイト』と呼ばれた彼は、むっとした表情で後ろを振り返る。
そこにいたのは、私の目の前にいる彼とよく一緒にいる3人組だった。
茶髪でピアスを開けている、一見チャラそうな見た目の佐々木太一くん。
同じく茶髪で本人曰くそばかすがチャームポイントの橘 凛くん。
細めの眼鏡が特徴の、頭のいい一条 雷飛くん。
そして、彼らに『バカイト』と呼ばれた張本人は。