××したいくらい、好き。
1:舌噛んで死ねるよ
「きず、いつまでそこにいるの?」
なっちゃんが不思議そうに私の顔をのぞき込んでくる。
なっちゃんの言う『そこ』とは。
廊下と教室の境目。
正確に言えばその境目の一歩廊下側に下がった位置。
というのも、新しいクラスに……教室の中に入っていく勇気が出ないのである。
唯一の仲良しであるなっちゃんがいるというのにこの有様であるからして、もしも彼女が同じクラスでなかったらと思うとぞっとする。
「うう……」
ちらりと教室の中に視線を移すと、すでにこの空間に慣れてしまった様子の皆がわいわいと話をしている。
黒板にはおそらく、出席番号順に並べられた席順が指定されたプリントが貼ってあるのだろう。
特に女子がそのプリントにいつまでも群がっている。
気になる人と席が近いだの遠いだの…おおかたそんな話をしてるんだろう。
けど、願わくば早くそこをどいてほしいのです。
その中に入っていく自信が、私にはないのです。
でも、自分の席の位置を確認しないと、座れないし…唯一の私の居場所であるからして、その……!!
「ああああ……」
「き、きず!パニックになって全身が震えてるよ!!」
なっちゃんに肩を支えられる私。
ああ、なっちゃん、こんな私でごめんなさい。