××したいくらい、好き。

いや、もともと笑うのは苦手だったのだけど。


ここまで引きつった笑顔は初めてかもしれない。


うん、別に。


わかってたことじゃない。


かいとくんは有名人で、人気者だもん。

かいとくんのことを好きな人はいくらでもいる。

そんなの、バスケ部の練習を見に行ったときに思い知ったじゃない。

ましてやかいとくんの幼なじみが、彼を好きにならない保証なんてないし。


そんなのわかってたことのはずなのに。


なんでこんなに、胸がズキズキするんだろう。

なんでこんなに、胸が苦しいんだろう。


「っ、絆奈ちゃ…」



―――ああ。


私…。


知らないうちに、気づかないうちに、無意識のうちに。

舞い上がってしまっていたのかもしれない。



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