僕らの恋が終わる前に、




卒業までの1日1日、

桔平との時間を大切にした。





彼はいつだって私の背中を押してくれて

「頑張れよ」って笑ってくれてた。





愛しくて、寂しくて。





桔平は、寂しくないの?







「桔平・・・離れたくない。」







この街に残る桔平に、

どうすることもできない

ワガママを言ってしまった。






「あんちゃん、おいで?」





ふっ、って彼は笑うと

私の腕を引き寄せて抱きしめて。





「仕事の休み取れたら会いに行くし、

あんちゃんの美味しいごはん食べさせてよ。」



「・・・・ん。」




「ほら、泣かない。」




「・・・きっぺい・・・好き。」





私を包む腕がぎゅっと強くなる




「・・・・・・・ん。」






あの時、桔平は泣いてたの?




桔平の顔を見上げたくても、


痛いくらい抱きしめるから


わからなかったよ。




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