32人の殺人犯
Episode0.
Opening
いつもと変わらな朝だった。
天気もそんなに悪くない。
「それで_______美緒さん。
あなたは何を知っているんですか?」
机を6つほど向かい合わせただけの
空間に、登坂美緒(とうさか みお)と
若い男と中年の男。
中年の男は黙り込む美緒の顔を見て
ニヤリと笑う。
「美緒さん、黙んまりきめこむのも
疲れるでしょう。
あなたにとって水嶋雄輔(みずしま ゆうすけ)は
何だったんですか?」
「_______わかりません」
小さな声で、震える声で
美緒はそう言った。
「わからない?
おかしいですね_______美緒さん。
あなたは水嶋雄輔の幼馴染みのはず。
わからないは変ですよ」
「わ、わからないんです。
彼が_______何を考えていたかも
彼がどんな人だったのかも
なんにもわからないんです____!!!」
頭を抱え取り乱す美緒に
若い男が慌てて立ち上がる。
「東城(とうじょう)さん。もうやめましょう」
東城と呼ばれた中年の男は
はぁとため息をつき、美緒に向かって言った。
「こんなこと、本当は
言いたくはないんですが_______」