好きですか? いいえ・・・。
「え?」
落合くんが車椅子を止めた。
「私は親孝行なんてできないんだよ。こんな身体じゃ……。ずっと迷惑かけることになるんだよ? こんな私がいない方がよくない? こんな私がいなければ、お母さんは素敵な人と出会って、恋をして、再婚して……。ううん、そもそも私なんか生まれて来なかったらよかったんだって。」
「そっか……。」落合くんは深いため息をついた。
「それじゃ、死ぬか?」
「へ?」思わず振り返って見た落合くんの顔は月の光に照らされて、不気味だった。
「消えたいんだろ? だったら死のうぜ? オレ、手伝ってやるから。」
そう言って、落合くんは車椅子を猛スピードで進めた。こうやって猛スピードで車椅子を押すことなんてよくあることで、身体に受ける風は気持ちいいものなのに、今日の、今の、この風は不思議と気持ち悪かった。