好きですか? いいえ・・・。
「簡単に消えたいなんて言うなよ! 消えて悲しむ人がいるってことを考えろよ! 生きてたらきっといいことがあるって希望を持てよ! 生きることを、人生を楽しく考えろよ!」
どうしてだろう。夜だからなのか、心の奥底で眠っていた不安とか、悲しみとかが欠伸をしながら起きてきて、私の身体を蝕んで、病ませる。消えたいなんて普段は思わないのに、ちょっとしたことで消えたいって思ってしまう。
でも、歩けるヤツに私の気持ちなんてわかってほしくない! 落合くんは、自分の脚で立って、歩けるんだ。きっといい人と出会って、結婚して、子供を作って、幸せな家庭を築くんだ。幸せが約束されているような人に、私の生き方を、この先の将来をどうこう言われたくない!
「……じゃあいいよ。死ぬよ、私。」
車椅子は自分で漕げる。漕ぐと前に進む。歩道を乗り越え、車道に出る。右頬に車のライトが当たる。目を閉じた。ああ、死ぬんだ、私は……。
そう思った瞬間、車がキーッと音を立てて止まった。すぐさま運転席の窓が開いた。
「……危ねえーよ! ンなとこに突っ立ってんじゃねえ!」
そう言って、車は私の横を物凄いスピードで走り去った。
運転手は「突っ立ってんじゃねえ!」と言った。私は目を見張った。落合くんが私の前に立っていた。