好きですか? いいえ・・・。
私の心を慰めるように、体温計がピピピッと鳴った。落合くんに背を向けて、体温計を抜いて、体温計に表示された数値を確認した。
「どうだった?」
落合くんが少し前のめりになって訊いてきた。
「何度だと思う?」
「さあ。36.8℃とか?」
残念。全然違う。
「37.9℃。」
「マジで? 嘘だろ?」
「マジで? 嘘だろ?」と思ったのは、私の方だ。まさか、本当に熱があるなんて思ってもみなかった。
この熱は恋熱なのか、恋熱を隠すために必死になった結果、出た熱なのか。37.9℃。これは、気分が悪いから保健室に行って、計った時に出た数値なら、家に帰れるほどの数値だ。
「大丈夫なのか? 気分悪くない? 頭とか痛くない?」
「うん。なぜか平気。」
これは本音。本当にどこも悪くない。頭もお腹も平気……平気だけど……。
「水枕でも持ってこようか? 熱さまシートの方がいい? ないなら買ってくるけど、どうする?」
なんておろおろされると、本当にしんどいような気がしてくる。頭が痛い……ような気がする。気がしてくると、どんどん頭が締め付けられるように痛くなる。お腹が痛い……ような気がする。気がしてくると、どんどんズキズキとサボテンに刺されたように痛くなる。