好きですか? いいえ・・・。





私の心を慰めるように、体温計がピピピッと鳴った。落合くんに背を向けて、体温計を抜いて、体温計に表示された数値を確認した。



「どうだった?」



落合くんが少し前のめりになって訊いてきた。



「何度だと思う?」



「さあ。36.8℃とか?」



残念。全然違う。



「37.9℃。」



「マジで? 嘘だろ?」



「マジで? 嘘だろ?」と思ったのは、私の方だ。まさか、本当に熱があるなんて思ってもみなかった。



この熱は恋熱なのか、恋熱を隠すために必死になった結果、出た熱なのか。37.9℃。これは、気分が悪いから保健室に行って、計った時に出た数値なら、家に帰れるほどの数値だ。



「大丈夫なのか? 気分悪くない? 頭とか痛くない?」



「うん。なぜか平気。」



これは本音。本当にどこも悪くない。頭もお腹も平気……平気だけど……。



「水枕でも持ってこようか? 熱さまシートの方がいい? ないなら買ってくるけど、どうする?」



なんておろおろされると、本当にしんどいような気がしてくる。頭が痛い……ような気がする。気がしてくると、どんどん頭が締め付けられるように痛くなる。お腹が痛い……ような気がする。気がしてくると、どんどんズキズキとサボテンに刺されたように痛くなる。




< 128 / 204 >

この作品をシェア

pagetop