好きですか? いいえ・・・。
「ごめん、ちょっとしんどいかも……。」
車椅子から降りて、ベッドで横になった。横になった瞬間、身体の力がどっと抜けて、息が荒くなる。身体が暑いような、寒いような気がしてくる。目を閉じる。頭が痛くて、すぐに目を開ける。視界がぼやけてきたような気がした。お腹も痛い。しんどい。吐きそう。しんどい。
「落合くん、冷蔵庫にミネラルウォーターのペットボトルがあると思うんだけど、取って来てもらえる?」
「わ、わかった!」
落合くんはギターを壁に立てかけて、それからパタパタと急いでキッチンに向かった。冷蔵庫の開く音とそれよりも大きな閉まる音がして、またパタパタと戻って来た。
「500mlのやつでいいの?」
「うん、ありがと……。」
落合くんからペットボトルを受け取って、それをおでこに当ててみた。ひんやりとして気持ちいい。上体を起こして、キャップを開けようとした。手に力が入らない。なかなか開かない。
「貸して。」
見かねた落合くんが私のペットボトルをひったくるようにして、キャップを開けた。それを私の手元じゃなくて、口元に当てた。
「い、いいよ! 自分で飲めるから!」
顔を背けて、抵抗したら、落合くんは「いいから!」と言って、私の口元に無理矢理飲み口を当ててきた。飲む準備ができてなくて、口元から、首筋に水の筋が2本垂れた。
「もう! 溺れるって!」
「ごめん……。」
パジャマが濡れてしまった。着替えたい。着替えたいけど、落合くんのいる前で着替えることはできない。着替えを取って来てもらうことなんてできない。