好きですか? いいえ・・・。
私は落合くんが救急箱の中身を拾い集める姿を見ているだけしかできない。誰かを助けることもできない自分が腹立たしかった。
どうしてこうなってしまったんだろう。神様は一体、どうして私にこんな試練を与えたのだろう。それとも罰か? どっちにしろ、私には荷が重い。
救急箱の中身を元通りにして、それから落合くんは私の対面に座って、絆創膏を指に巻き始めた。不器用。びっくりするくらい不器用で、絆創膏の上の方が余って、筒みたいになっている。
「どうして指怪我したの?」
「ギターの練習してたら、弦で指の腹切っちゃったんだよ。押さえるの難しくってさ。」
「軽音部だよね?」
「一応ね。でも、まだ入部して1ヶ月くらいしか経ってない。」
「1ヶ月!?」思わず声が裏返った。
「落合くん、3年生だよね? なんで3年生から軽音部に入ったの?」
「あー、まあいろいろと……よし! 完璧!」
落合くんが絆創膏で武装された左手のひらを出して、ニィッと笑った。
「なんか好きな人のために一生懸命料理をした女の子みたいな手だね。」
「むっ! まあ、言われてみれば、確かに……。」