好きですか? いいえ・・・。
「言っておかなきゃいけないこと?」
「そう。言っておかなきゃいけないこと。」
「どうした? 急に。まさか遺言とか? 『全財産を落合くんにあげます。』みたいなこと?」
私は大きく咳込んだ。そこで初めて喉が痛いことに気づいて、慌てて喉を押さえた。
「大丈夫か!?」
落合くんが私の身体を支えて寝かせてくれようとした。それを私は黙って制止して、呼吸を整えた。
「大丈夫。大丈夫だから……。」
必死に笑顔を作ってそう答えた私の顔を落合くんは心配そうに覗き込んだ。
「本当に? あれだったら病院、連れて行こうか?」
「いや、本当に大丈夫。大丈夫だから……訊いてもらえる?」
「わかった……。」
落合くんは落ち着きを取り戻して、傍にあった私の学習机の椅子に腰かけた。