好きですか? いいえ・・・。
「実はね、私、好きな人がいるの。」
落合くんは、意外と冷静で、「へえー、誰?」と訊いた。
「川上……昇くん……。」
「川上?」これには驚いたようだった。
「川上ってあのスナノのボーカルの?」
「……うん。」
「そっか、そっか、へえー……。」
落合くんは天井を見つめながら、「そっか、そっか……。」を繰り返した。この繰り返しの「そっか、そっか……。」は、きっと自分が失恋したことを必死に受け入れようとしているのか、突然のことで戸惑いを隠せないのか、その両方が交錯しているのかのどれかだと思う。
「……いつから?」
落合くんが天井を見つめたままそう訊いた。
「ずっと前から。」
「ずっと前? 歩けていた時からってこと?」
「うん、そう……。」
「修学旅行の時も?」
「修学旅行の時も……かな。」