好きですか? いいえ・・・。
きっとそんな夜が来る。





「テイラーを越えるシンガーソングライターか……。」



「そう。テイラーを越えるシンガーソングライター。」



落合くんは、腕組み、頬に手を当て、いろいろ考えて、それから二度、うんうんと頷いた。



「いいよ。うん……。すっごくいい。人生一度っきりだ。それくらいのでっかい夢がないと面白くないもんな!」



まあ、私の場合、テイラーを越えるシンガーソングライターになるということは、川上くんを振り向かせるためのあくまで通過点であって、ゴールじゃない。



もし川上くんが好きなのが、ボードレールだったら、詩人を目指していたし、アラビアのロレンスだったら、軍人か考古学者を目指していたと思う。全国のシンガーソングライター志望の人には申し訳ないとは思うけど、大好きな人の好きなものになりたいと思って、何が悪いのだろう。



恋する乙女の力は、無限大なのだ。




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