好きですか? いいえ・・・。
「ごめんね、落合くん。実は、私、お母さんと落合くんが話している会話、脱衣所で聞いちゃったんだ……。」
「そうなの?」落合くんの声のトーンが大きくなった。
「ということは、オレが財満さんのこと好きだっていうことも?」
「……知ってた。ごめんね、落合くん。」
「『ごめんね。』かあ……。ってことは、答えはきっとそういうことだよな……。」
落合くんは大きくため息をついて、天井を見上げた。それから沈黙が数分続いて、それから二度うんうんと頷いた。
「大丈夫。オレは大丈夫だから。」
「『大丈夫。』ってことは、吹っ切れたってこと?」
なんでこんなことを訊いてしまったんだろう、私。
「吹っ切れてはないよ。男は愛されるところに価値があるんじゃなくて、愛するところに価値があるものだと思うんだよ。だから、オレは財満さんのこと、これからも陰ながら愛し続けると思う。もちろん、財満さんの幸せがオレの幸せでもあるから、川上ゲット作戦も喜んで協力する。もし、それで財満さんと川上がうまくいっても、オレは達成感みたいなものと人としての成長を掴めるんだと信じてるから。」