好きですか? いいえ・・・。
「私の家まで? そんないいよ!」
「いいのいいの。もう帰る準備はできてるの?」
「カバン……持つくらいかな……。」
「これね?」落合くんが私のカバンを自分のカバンと一緒に肩に掛けた。
「んじゃ、出発ー!」
落合くんは拳を天に突き上げ、勢いよく車椅子を押した。
「ちょ、ちょっと! ホントに良いってばっ!」
「ホントに良いってばっ! これも何かの縁だし。あ! お母さんに連絡しといた方がいいんじゃない?」
そうだった。私はポケットからスマホを取り出した。
「友達が送ってくれることになったから、お迎え大丈夫です!」
送信ってところで、思い留まった。「友達」。私と落合くんは果たして「友達」なのだろうか。
「ねえ、落合くん。」
「何?」
「私たちってもう友達……でいいんだよね?」
「当たり前だろ。それとも、財満さんは友達とか作らないタイプ?」
私はニヤケ顔で送信ボタンの押した。
「ううん。財満さんは友達とか作るタイプ!」
「よかった。それじゃあ友達認定!」
車椅子のスピードが更に速くなって、私は風になったような気がした。