好きですか? いいえ・・・。
前へ進む。
「ちょっと、十志子ちゃん、どうしたの? それ。」
山辺先生に机のところに立てかけてあるギターケースに入ったアコースティックギターのことを訊かれた。
「ちょっとギターを始めようかと思いまして……。」
「ギター? まさか、落合の影響?」
「まあ、そんなところですかね。」
すると、山辺先生は険しい表情になった。
「いい? 十志子ちゃん。ギターはいいかもしれないけど、頭だけは影響受けないでね?」
「フフフッ、先生、面白いこと言いますね!」
「ちょ、ちょっと! 聞こえてますよ、お二人さん。」
カーテンがシャーッと開いて、寝癖を作った落合くんがベッドから顔を出した。
「聞こえるように言ったのよ。また、授業サボって……。いい? 保健室は授業をサボるところじゃないんだからね!」
これは、山辺先生が正しい。落合くんは一体いつ勉強してるんだろうか……。こんなことで本当に大学受験なんてできるんだろうか……。