好きですか? いいえ・・・。
「それで、どう? 弾けるようになった?」
ベッドから起き上がって、落合くんが私のルーズリーフを覗き込んできた。
「まあ、一応ね。そこそこいいんじゃないかな?」
「へえー! それじゃあ、今から聴かせてよ!」
「冗談じゃない!」山辺先生が声を荒げた。
「今は授業中! 元気なら教室に帰る!」
「チェッ……。」
落合くんは山辺先生から怒られ、ベッドに戻って行った。「って、帰らないんかい!」そう思ったのは私だけじゃなくて、山辺先生もだった。表情にアフレコするなら、きっと「って、帰らないんかい!」が良く似合う。
「それから、十志子ちゃん!」
「は、はい!?」
「一応、授業中なんだから、自習してなさい。テスト、近いんでしょ? 成績下がったら、先生から他の先生方に頭下げて、補習頼んでもらうけど、それでもいいの?」
「……すみません。」