好きですか? いいえ・・・。
荒波に流される。





大通りに出ると、さすがに落合くんも車椅子の速度を落としてくれた。段差や坂道にも気を配ってくれた。



そういえば、こうやって外を車椅子で歩いたのは久しぶりな気がする。自転車で通っていた通学路を私は今、今日会ったばかりの男子に引かれ、車椅子で歩いている。同じ制服を着た生徒が私たちを一瞥して、自転車で追い抜いていく。なんだか落合くんに悪いなって思った。



「ごめんね。」



「何が?」



「いや……こんなことしてると、周りに誤解されないかなって……。」



またエナメルバッグを自転車の荷台に乗せた男子たちが私たちを一瞥した。それを見た落合くんが車椅子を止めた。



「なんだよ? そんなに珍しいかよ? お前ら車椅子に乗ってるヤツ見たことねえのか?」



男子たちは私たちから視線を逸らして、走り去って行った。落合くんは静かに舌打ちした。



「オレ、車椅子乗ってるってだけで、ああいう目するヤツ、嫌いだわ。」



私は心の中で落合くんに「ありがとう。」を贈った。落合くんみたいな優しい目をした人が増えていくと、どんなにいい世の中だろうって思う。




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