好きですか? いいえ・・・。
「それで、どうして財満さんはギターを始めようと思ったの?」
二度も名前を呼ばれた。そのことがまた私をキュンとさせる。
「え、えっと……。」私は嘘をついた。
「テイラーって知ってるかな? そのテイラーに憧れて……。」
「テイラー!?」川上くんが目を丸くした。
「オレも好きなんだよ、テイラー! オレもギター始めたきっかけはテイラーなんだよ!」
川上くんがテイラーが好きだってことを知っていたから、私はあえてそう言った。だから、食いつくことは知っていた。でも、知らなかった。川上くんもテイラーがきっかけでギターを始めたなんて。
「スナノってロックバンドなのに、なんか珍しいね。」
「まあね。だから、表向きは、『とあるロックバンドに憧れて。』なんて言ってるよ。実際はアコギ1本で行こうと思ってた。でも、高校に入ってから友達に誘われて、それから『スナノトリガー』を結成したんだよ。」
結成秘話までは知らなかった。川上くんがテイラーきっかけでギターを始めたことに驚いて、気持ちがリラックスした。今なら平常心で話せる自信がある。