好きですか? いいえ・・・。





「そういえば、川上くんはどうして教室に来たの? 忘れ物?」



「いや、実は……。」川上くんが一瞬口籠った。



「……財満さんが放課後、ここでギター弾いてるって知っててさ。ちょっと話してみたくなって。」



「え!?」



私と……話してみたくなった? それってつまり……そういうこと?



「いや、財満さんが歩けなくなったって話は聞いてたからさ。それで、放課後、いつもこうやってギター弾いてるって話を聞いた時に、オレにも何かできることないかなって。」



……そういうことじゃなかったんだ。そういうことだったんだ。



私はてっきり川上くんが私のことを恋愛対象として気になっていたんだと思っていた。それなのに、川上くんは私が歩けなくなったことを慈悲として気になっていたんだ。



他の、クラスメイトと同じように。




< 179 / 204 >

この作品をシェア

pagetop